アックス付きフリントロック
斧とピストルを組み合わせた武器であります。16-18世紀までポーランド騎兵のトレードマークだったとの記述も見かけましたが、真偽は不明です。画像のフリントロックは、一応17世紀ドイツとなっています。
<複合武器>
銃と刀剣を融合させた武器はヨーロッパに多く、火縄銃の時代から様々な国、発明家のもとで開発されてきた。当時はマスケット銃を用いた銃兵隊が組織されていたが、マスケット銃は有効射程が100m程度と短い上に、装填にかなりの時間がかかり発射間隔が長かった。そのため、射撃と射撃の合間に敵の歩兵や騎兵の突撃を受ける恐れが高く、突撃を許すと近接戦闘の手段が剣や短剣しかない銃兵はひとたまりも無かった。このため当時は、銃を持つ兵士の傍には常にパイク(槍に似た長い棒状の武器)を装備する槍兵を置く必要があったが、銃剣の採用により銃兵は敵の歩兵や騎兵の突撃を独力で迎撃することが可能になった。それにより役目のなくなった槍兵は銃兵に更新されると共に、全歩兵を銃兵とすることが可能となり、戦闘能力の向上につながった。
<フリントロックとは>
フリントロック式(Flintlock)=燧発式(すいはつしき)=燧石式(すいせきしき)。燧石とは火打ち石のことで、火縄銃が火をつけた縄で火薬を発火させるのと違い、火打ち石で発火させる仕組みのことです。
大まかな仕掛けはマッチロック式(火縄銃)と変わらず、違うのは次の三点です。
① 撃鉄(火薬に火をつけるために引き金を引くと動く部分)の先端に火縄ではなくフリント(燧石)が取り付けられていること。
② 火蓋 (火薬を入れてある部分の蓋) と当たり金 (火打ち石をこすって発火させる板状の金具)を兼ねたL字型のフリズンがある。
③ フリズンを閉じるばねがある。火縄銃では、引き金を引く前に、火蓋を開けて(火蓋を切る)、火薬を露出させる必要がありますが、フリントロックの場合は、撃鉄が落ちてくるとバネの力でフリズンが自動で開きつつ、火打ち石をこすりながら火薬の部分に到達する仕組みになっているのです。
<利点>
●フリントロック式は単純な構造のため、故障や不具合が少ない。
●射撃時火蓋を開ける必要も無いなど射撃間隔も縮めることが出来る。
●火種を使わず、さらに火蓋を閉じたまま射撃をスタートできるため、天候の影響が小さい。●火縄式は、実際に火のついた火縄を使うため、密集すると、隣の射手の銃の火縄から引火する危険があったのに対し、フリントロック式は火種を使わないため射手がより密集する事が可能。集団戦に効果的。
<欠点>
●数発発砲すると、フリント(燧石)と当たり金の相性が変化し、不発を起こし易くなるため、撃鉄のねじツマミを緩めてフリントの当たり具合を調整し直す必要が生じてくる。
●火種ではなく火花に頼っているため不発の可能性も残る。
●火蓋を当たり金と一体化させて無くしてしまったため暴発の可能性のゼロではない。
<日本におけるフリントロック式>
日本では、江戸時代に、現物が輸入されたり書物から得た知識として「火打ちからくり」等の名で知られ、また、一部の鉄砲鍛冶による試作品も今に伝えられている。しかし日本産の燧石(火打石)は発火の火花が弱く銃向きでない事から採用されなかったと云われる。また既に平和な時代になっていた事から、集団戦向きであるという長所が理解されず、むしろ射撃術が個人技になっている状況から、マッチロック式(火縄式)の中でも特に命中精度が良い瞬発式火縄銃が引き続き使用され続けた。
<面白ポイント>
なお、フリントロック式の技術そのものは当時の日本でも十分に導入可能なものであり、応用製品としてこの機構をそっくり借用したライターが平賀源内などによって、「刻みたばこ用点火器」の名で製造されている。
【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)による記述を再構成】
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